アルバムの基本情報
タイトル (日本語) | レット・イット・ビー...ネイキッド |
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タイトル (英語) | Let It Be... Naked |
発売日 | 2003年11月17日 |
最高順位 | 【イギリス】7位 【アメリカ】5位 【日本】2位 |
CD
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アルバム収録曲
ディスク1
- ゲット・バック Get Back
- ディグ・ア・ポニー Dig A Pony
- フォー・ユー・ブルー For You Blue
- ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード The Long And Winding Road
- トゥ・オブ・アス Two Of Us
- アイヴ・ガッタ・フィーリング I've Got A Feeling
- ワン・アフター・909 One After 909
- ドント・レット・ミー・ダウン Don't Let Me Down
- アイ・ミー・マイン I Me Mine
- アクロス・ザ・ユニバース Across The Universe
- レット・イット・ビー Let It Be
ディスク2(ボーナストラック)
- フライ・オン・ザ・ウォール Fly On The Wall
アルバムの概要
このアルバムが誕生した経緯
アルバム『レット・イット・ビー…ネイキッド』は、1970年にリリースされた公式アルバム『レット・イット・ビー』のリミックス版として2003年11月に発売されました。
オリジナル版『レット・イット・ビー』はリリースに際して、フィル・スペクターによりオーケストラ演奏や多重コーラスなどのアレンジが加えられていました。
これにポールが激怒したのは有名な話で、自分たちが発表したかった本来の楽曲がスペクターの「過度なアレンジ」により歪められたと非難しています。
ちなみに他の3人(ジョン・ジョージ・ポール)はスペクターのアレンジを称賛していました。
スペクターのアレンジを除去し、本来のアレンジによる楽曲を『レット・イット・ビー』として発表したい、という構想をポールが企画したのが始まり。
その構想をリンゴ、ジョージ、そしてオノ・ヨーコも了承したことで制作された、というのが今作『レット・イット・ビー…ネイキッド』誕生の経緯です。
ジョージは今作の発売前(2001年11月29日)に死去しましたが、生前に了承していたそうです。
「裸の」というには評価が分かれる
アルバムのタイトルは、今作の完成バージョンを発売前に聴いたリンゴが「これは裸の(=ネイキッド)レット・イット・ビーだね!」と称賛したことから付けられています。
フィル・スペクターのアレンジをすべて取っ払い、当初のアレンジで『レット・イット・ビー』を作り直すという発表はメディアやファンの間でも話題となりました。
特にポールが激怒した「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」に関しては、スペクターのアレンジを除去したらどんな曲調になるのか、というのが大いに注目を集めていました。
ただしポールはウイングス(=ビートルズ解散後に結成したバンド)やソロで「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を演奏しており、ポールが本来やりたかったアレンジがどういうものなのかをファンは分かっていました。
しかしフタを開けてみると「スペクターのアレンジを除去した『裸の』原曲アレンジ」ではなく、別テイクのものを収録している曲が多いという結果になっていました。
最大の注目を集めていた「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」も、アルバム『レット・イット・ビー』に収録されたバージョンとは違う日にレコーディングされたテイクが今作に収録されています。
つまり「オーケストラなどを取っ払った原曲テイク」ではなく「別テイク」です。他にもそういう楽曲が幾つかあります。
アウトテイク集としてはとても興味深い作品ですが、「本来のアレンジでアルバムを作り直す」というコンセプトの通りだとは必ずしも言えず、リリース当初は「期待外れ」などの批判もあった作品でした。
私自身、2003年にアルバムを初めて聴いた時は「想像していたのと違うぞ?」と感じました。
ビートルズの入門編としてはオススメできない
オリジナルの『レット・イット・ビー』が発売されたのは1970年。
一方、今作『レット・イット・ビー…ネイキッド』は2003年に発売されているため、リミックスなどで音質を向上させた最新盤なのかと勘違いして購入する新規ファンが少なからずいるようです。
今作はあくまで「アウトテイク集」(=発表済みのバージョンとは別の日にレコーディングされたバージョンを集めたもの)です。
つまりオリジナルの『レット・イット・ビー』を聴いたことのあるファンが、フィル・スペクターのアレンジを取っ払ったらどう変わるのか、別テイクだとどういう曲調だったのかなど、オリジナルと比較するのを楽しむアルバムです。
なのでビートルズの新規ファンが入門編として今作を購入するのは全くオススメしません。オリジナルの『レット・イット・ビー』を先に購入することを強くオススメします。
逆に古くからのファンであれば、よく知っているアルバムの楽曲が本来はどうだったかなどを聴き比べられますので、とても興味深く楽しめるアルバムです。
オリジナル版とは収録曲が異なる
オリジナル版『レット・イット・ビー』に収録されていた楽曲のうち「ディグ・イット」「マギー・メイ」の2曲は今作から外されました。
本来の「ディグ・イット」はオリジナルが10分以上と長く、即興演奏でもありましたので、リミックスするには適さないと判断されたのかもしれません。
また「マギー・メイ」は故郷リヴァプールの民謡的な曲であり、そもそもの別テイクが少なかったか、別テイクがあったとしても変わり映えがなく、リミックスのしようがなかった可能性があります。
2曲がカットされた代わりに、オリジナルでは収録されなかった「ドント・レット・ミー・ダウン」が今作には収録されています。
ルーフトップ・コンサートで披露された曲なので、違和感は全くありませんね。
ボーナスディスク「フライ・オン・ザ・ウォール」
CD版はボーナスディスクが付いており、「フライ・オン・ザ・ウォール」が収録されています。
「フライ・オン・ザ・ウォール」は、通称「ゲット・バック・セッション」での会話やセッション内容をピックアップした内容で、約22分の長さがあります。
今作の本編ではカットされた「ディグ・イット」「マギー・メイ」の2曲は、こちら「フライ・オン・ザ・ウォール」の中に収録されています。
またビートルズ解散後にメンバーがソロで発表した曲のうち、ジョンのシングル「ジェラス・ガイ」の初期バージョン「チャイルド・オブ・ネイチャー」や、ジョージの「オール・シングス・マスト・パス」も約30秒ほど収録されています。
「チャイルド・オブ・ネイチャー」や「オール・シングス・マスト・パス」の演奏シーンは、「 ザ・ビートルズ: Get Back 」で映像として見ることができます。
アルバムジャケットについて
ネガ・フィルム調の写真を使用
アルバムジャケットはオリジナル版『レット・イット・ビー』と同じく「ゲット・バック・セッション」の際に撮影された写真が使用されています。
ただしオリジナル版で使われたメンバーの写真を反転させ、ネガ・フィルムのようなデザインになっています。
ジョン・ポール・リンゴはオリジナル版と同じ写真を反転させたものですが、右下に写るジョージだけはオリジナル版と異なる写真が使用されています。