アルバムの基本情報
タイトル (日本語) | マジカル・ミステリー・ツアー |
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タイトル (英語) | Magical Mystery Tour |
発売日 | 【アメリカ】1967年11月27日 【日本】1968年12月5日 |
最高順位 | 【アメリカ】1位(8週) |
CD
デジタル音源(CD)が初めて発売されたのは1987年。2009年には音質を改善したリマスター盤がリリースされています。
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アルバム収録曲
アナログ盤・A面
- マジカル・ミステリー・ツアー Magical Mystery Tour
- フール・オン・ザ・ヒル The Fool On The Hill
- フライング Flying
- ブルー・ジェイ・ウェイ Blue Jay Way
- ユア・マザー・シュッド・ノウ Your Mother Should Know
- アイ・アム・ザ・ウォルラス I Am The Walrus
アナログ盤・B面
- ハロー・グッドバイ Hello, Goodbye
- ストロベリー・フィールズ・フォーエバー Strawberry Fields Forever
- ペニー・レイン Penny Lane
- ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン Baby, You're A Rich Man
- 愛こそはすべて(オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ) All You Need Is Love
アルバムの概要
アメリカではLP、イギリスではEPとして発売
アルバム『マジカル・ミステリー・ツアー』は、アメリカ編集のアルバムとして1967年11月27日に発売されました。
イギリスでは当初からEP(=LPとシングルの中間にあたるディスクサイズや容量のアナログレコード盤)として発売する計画であり、2枚組EPとして1967年12月8日に発売されました。
しかしアメリカではEP盤の発売が主流ではなかったため、先行して発売されていたシングル曲5つを加えた合計11曲のアルバムとして発売されています。
アメリカ編集のLP『マジカル・ミステリー・ツアー』はイギリスでも輸入盤として人気があり、ビートルズ解散後の1976年11月27日にイギリスでもLPが発売開始となりました。
CD化の際に「準公式」扱いとなった
ビートルズのアルバムが1987年に初めてCD化された際、イギリス発売の公式アルバムに加え、この『マジカル・ミステリー・ツアー』はアメリカ編集盤でありながら「準公式」の扱いとなり、CDボックスに加えられることになりました。
『マジカル・ミステリー・ツアー』と『パスト・マスターズ』がCDボックスに加えられたことで、公式213曲がすべてCDで聴けるようになったのです。
私も1987年にこのCDボックスを購入しました。現在もカーステレオで聴いています。
テレビ映画のサウンドトラック盤
このアルバムは、1967年12月26日にイギリス・BBCで初放送されたテレビ映画『マジカル・ミステリー・ツアー』のサウンドトラック盤でもあります。
アメリカで発売されたアナログレコード盤アルバムのA面と、イギリスで発売された2枚組EPでは、映画の中で使用された6つの楽曲が収録されています。
アメリカ発売のアルバムでは、先行発売されていたシングル5曲がB面に収録されました。
収録曲の内訳、レコーディング期間
『サージェント・ペパーズ』の完了4日後からレコーディング開始
『マジカル・ミステリー・ツアー』の収録曲は全11曲。すべてオリジナル曲です。
収録曲の内訳は、ポールの作品が5曲、ジョンの作品が3曲、ジョージの作品が1曲、ジョンとポールの共作が1曲、メンバー全員での共作が1曲。
前作『サージェント・ペパーズ』のレコーディングが完了したのは1967年4月21日。そのわずか4日後である4月25日から今作のレコーディングが開始されています。
同じ時期にはアルバム『イエロー・サブマリン』に収録された楽曲のレコーディングも同時におこなっていました。
それだけではなく、解散前最後のシングル「レット・イット・ビー」のB面に収録された「ユー・ノウ・マイ・ネーム」もこの時期にレコーディングしていたことが分かっています。
アルバム3枚分に加えてシングル曲も複数レコーディングしていた訳ですから、1967年のビートルズはレコーディングに没頭しまくったといえます。
『マジカル・ミステリー・ツアー』に収録された楽曲のレコーディングは11月2日に完了しています(期間は約半年)。スタッフによる編集作業は11月17日で完了しました。
ブライアン・エプスタインが急死する前から始動していた
1962年にビートルズがデビューした時から彼らを支えていたマネージャーのブライアン・エプスタインは、1967年8月27日に急死しました。
一部の書籍やサイトによる記事では、『マジカル・ミステリー・ツアー』を「エプスタインの死後、ビートルズが自分たちで初めて企画・実行したプロジェクト」と書かれているものがあります。
この情報は間違っており、エプスタインがまだ存命の頃からすでにプロジェクトは始動していました。エプスタインの急死に衝撃を受けたビートルズが奮起して最初に考えついた企画が『マジカル』だったという評論は間違いです。
上で書いたとおり、レコーディングは4月25日から開始されていますし、ポールによる映画の構想も同じ時期にはもう出来上がっていました。
1967年8月23日には映画でも使用された「ユア・マザー・シュッド・ノウ」がレコーディングされ、エプスタインはレコーディング・スタジオに同席しています。
この4日後にエプスタインは亡くなりました。
テレビ映画の放送や、サウンドトラックでもあるアルバムやEPの発売がエプスタインの死後になった、というだけの話です。
アルバムジャケットについて
ビートルズの着ぐるみ姿をジャケットに採用
アルバムジャケットに使用された写真は、映画の中で登場する「アイ・アム・ザ・ウォルラス」の演奏シーンでビートルズのメンバーによる着ぐるみ姿が採用されています。
誰がどの着ぐるみを着ているかは以下のとおり。
- ジョン(前列) … セイウチ(ウォルラス)
- ポール(後列左) … カバ
- ジョージ(後列中央) … 3月ウサギ
- リンゴ(後列右) … オウム
ジョージが扮した「3月ウサギ」とは、ルイス・キャロルの児童小説「不思議の国のアリス」に登場するキャラクターのことです。
「アイ・アム・ザ・ウォルラス」は、「不思議の国のアリス」の続編小説「鏡の国のアリス」にある小話をもとにジョンが作った曲です。
アルバムジャケットでは、メンバーたちの写真の上に映画使用曲だったA面の6曲が大きく載せられ、写真の下にはB面の5曲が少し小さめに載せられています。
チャートの動き・順位変動
アーティスト名/ アルバム名(英語) | 1967年 11月 | 12月 | 1968年 1月 | 2月 | 3月 | |||||||||||||||||
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The Beatles / Magical Mystery Tour | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 | 4 | 4 | 6 | 6 | ||||||||
The Beatles / Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band | 2 | 2 | 2 | 2 | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 5 | 5 | 6 | 6 | 6 | ||||||||
Diana Ross
& The Supremes / Greatest Hits | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | 3 | 5 | 5 | 9 | 8 | 8 | 8 | |
The Monkees / Pisces, Aquarius, Capricorn & Jones Ltd. | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 | 3 | 3 | 4 | 6 | 6 | ||||||||||
Paul Mauriat
& His Orchestra / Blooming Hits | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | ||||||||||||||||
The Rolling Stones / Their Satanic Majesties Request | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | 6 | 8 | |||||||||||||
Bob Dylan / John Wesley Harding | 5 | 2 | 2 | 2 | 2 | 5 | 5 | 5 |
ダイアナ・ロス、モンキーズから1位を奪う
『マジカル・ミステリー・ツアー』がアメリカのアルバムチャートに初登場したのは、1967年12月第5週。初週は4位でした。
それまでアメリカのチャートで1位を獲得していたのは、まずダイアナ・ロス&ザ・スプリームスのベスト盤が11月第4週まで1位を獲得。
続いてザ・モンキーズの『スター・コレクター』(原題は“ Pisces, Aquarius, Capricorn & Jones Ltd. ”)が12月第1週から5週連続で1位を獲得していました。
1968年1月第1週、そのモンキーズのアルバムから1位を奪取した『マジカル・ミステリー・ツアー』は、以降8週連続で1位を獲得しています。
ポール・モーリアのアルバムが大ヒット
『マジカル・ミステリー・ツアー』から1位を奪ったのは、ポール・モーリアのインストゥルメンタル・アルバム『ブルーミング・ヒッツ』でした。
『ブルーミング・ヒッツ』はシングルでも5週連続1位を獲得していた「恋は水色(Love Is Blue)」を収録しているアルバムで、ビートルズの先行シングル「ペニー・レイン」の演奏も収録されています。
他にこの時期では、ローリング・ストーンズの『 サタニック・マジェスティーズ 』や、ボブ・ディランの『 ジョン・ウェズリー・ハーディング 』などがチャート上位に登場していました。
「サウンド・オブ・ミュージック」アメリカのチャート上位には登場せず
イギリスでは映画『サウンド・オブ・ミュージック』のサントラ盤がメガヒットを続けており、ビートルズのいろんなアルバムから1位を奪い続けていました。
しかしアメリカでのアルバムチャートで『サウンド・オブ・ミュージック』は上位に登場していません。イギリスとアメリカではチャートにも違いがあったということですね。