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ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)【アルバム解説】

ビートルズのアルバム一覧

アルバムの基本情報

タイトル
(日本語)
ザ・ビートルズ
タイトル
(英語)
The Beatles
発売日【イギリス】1968年11月22日
【アメリカ】1968年11月25日
【日本】1969年1月21日
最高順位【イギリス】1位(8週)
【アメリカ】1位(9週)

CD

ザ・ビートルズ
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デジタル音源(CD)が初めて発売されたのは1987年。2009年には音質を改善した最初のリマスター盤がリリースされています。

2018年11月には「発売50周年記念デラックス」として、いくつかのバリエーションによる新リミックス盤が発売されました。

バリエーションは以下のとおりです。

  • 3枚組 … ジョージの自宅で録音された通称「イーシャー・デモ」27曲を3枚目に収録
  • 4枚組 … 「イーシャー・デモ」を含むオリジナル構成のアナログ盤LP
  • 6枚組+Blu-ray … 「イーシャー・デモ」に加え数多くのアウトテイク(レコーディング途中の仮テイク)を収録

「イーシャー・デモ」については下の項で詳しく解説しています。

4枚組はCDではなくアナログレコード盤であることに加え、収録曲がオリジナルとは異なる構成になっていますのでご注意ください。

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アルバム収録曲

アナログ盤ディスク1・A面

アナログ盤ディスク1・B面

アナログ盤ディスク2・A面

アナログ盤ディスク2・B面

アルバムの概要

オリジナル・アルバム唯一の2枚組

アルバム『ザ・ビートルズ』は、イギリスにおける通算9枚目の公式アルバムとして、1968年11月22日に発売されました。

CD化の際、アメリカ編集の『マジカル・ミステリー・ツアー』が準公式扱いとなって9枚目のアルバムと位置付けられたことに伴い、『ザ・ビートルズ』は10枚目のアルバムとされましたが、イギリスでのリリースは9枚目です。

ビートルズがリリースした公式のオリジナル・アルバムで初めて、そして唯一の2枚組アルバムです。全30曲が収録されています。

アルバムジャケットが真っ白なことから『ホワイト・アルバム』(White Album)という愛称で呼ばれています。

初めてのアップル・レーベル

このアルバムは、ビートルズが設立した会社「アップル・コア」(Apple Corps Limited)の一部門「アップル・レコード」からリリースされた初めてのアルバムでもあります。

アナログレコード盤の中央には、リンゴ(メンバーではなく果物のほう)を2つに切った断面の写真が飾られるようになりました。

後にスティーブ・ジョブズが設立した、「Mac」「iPhone」などのIT製品で有名になる「アップル」社は、ビートルズたちのアップル・コア社とは別会社です。

「アップル」と「アップル・コア」の両社は社名などを巡り対立し、裁判で闘いましたが最終的には和解しました。現在も両社はアップルの名前を使用しています。

ジョンがヨーコをスタジオに連れてくるようになる

1968年2月、ビートルズのメンバー4人はそれぞれの妻や恋人を連れて、インドのリシケシュという場所で開催されていた瞑想修行に参加します。

瞑想が主目的であったにもかかわらず、ビートルズの面々(リンゴを除く)は楽曲の創作意欲を刺激されたらしく、多くの曲をインドで作っています。

インドで瞑想旅行にジョンは妻シンシアを連れて行きましたが、インド滞在中にジョンはオノ・ヨーコと何度も手紙でやり取りをしていました。

この時点でヨーコはまだ浮気相手ではなく、深い関係になったのはインドからイギリスに帰国した後、1968年5月頃だったようです。

ジョンとシンシアは1968年8月に離婚。ジョンとヨーコは翌年の1969年3月20日に再婚しました。ヨーコはこれが3回目の結婚です。

ホワイト・アルバムのレコーディング開始2日目だった1968年5月31日、ジョンはレコーディング・スタジオにヨーコを初めて連れてきて、メンバーやスタッフに「新しいパートナーだ」と紹介しています。

以降、ジョンはレコーディングの最中も常にヨーコと離れず、メンバーは困惑しつつもジョンに文句は言わなかったのだとか。

それまでレコーディングの関係者以外は、たとえ妻や恋人であろうともスタジオには一切出入りさせなかったそうで、その不文律をジョンは破ったことになります。

前作『サージェント・ペパーズ』で抜群のチームワークを披露したのとは一転し、『ホワイト・アルバム』では自作曲をひとりでレコーディングすることが増え、別々のスタジオで自分の曲を録音することも多くなりました。

ジョージ・マーティンやリンゴが離脱した

少しずつ人間関係がギクシャクし始めたのもこの頃から。エンジニアのジェフ・エメリックが辞め、プロデューサーのジョージ・マーティンも1ヶ月の長期休暇を取得してビートルズから一時的に離れました。

さらにはリンゴもビートルズを一時的に脱退しています。

ジョン・ポール・ジョージが自分の曲を別々のスタジオでレコーディングするようになり、リンゴのやることが減って待機する時間が増え、たまっていた不満が爆発したことによる離脱のようです。

それほど長い期間ではなく、メディアにはリンゴの脱退情報が完全に伏せられたため、公にはなりませんでした。

しかし、さすがにリンゴの脱退はメンバーにとって衝撃だったらしく、説得されたリンゴが戻った際にはスタジオに大量の花束が飾られ、ドラムセットには「おかえり、リンゴ」というメッセージが記されていました。

収録曲の内訳、レコーディング期間

ジョージ宅でのリハーサル「イーシャー・デモ」

『ホワイト・アルバム』のレコーディングに入る直前の1968年5月下旬、ビートルズのメンバーはジョージの自宅に集合し、インドで作った自作曲などをでも録音したのだそうです。

このデモ録音は通称「イーシャー・デモ」と呼ばれています。

ジョージの自宅がイギリス・サリー州イーシャーにあったことからこう呼ばれています。

この時に録音された楽曲のうち19曲が『ホワイト・アルバム』に採用され、収録されています。

イーシャー・デモで録音された音源は、ホワイト・アルバムの50周年記念盤「デラックス・エディション」に合計27曲が収録されています。

また1996年にリリースされたアルバム『アンソロジー3』にもイーシャー・デモの音源が収録されています。

レコーディング期間は4ヶ月半

『マジカル・ミステリー・ツアー』の収録曲は全30曲。すべてオリジナル曲です。

収録曲の内訳は、ジョンの作品が13曲、ポールの作品が12曲、ジョージの作品が4曲、そしてリンゴの作品が1曲。ビートルズのアルバムでリンゴの自作曲が初めて収録されました

全30曲のうち、インド滞在中に作った曲は半数の15曲あります。内訳は、ジョンが13曲中8曲、ポールが12曲中6曲、ジョージが4曲中1曲です。

レコーディングは1968年5月30日にスタート。最初に録音されたのはジョンの「レボリューション1」でした。

同年10月14日に「サボイ・トラッフル」の録音を終えてレコーディングは完了。期間は4ヶ月半でした。スタッフによる編集作業は10月18日に完了しています。

アルバムジャケットについて

ザ・ビートルズ ホワイト・アルバム

前作とは一転して超シンプルなジャケット

前作『サージェント・ペパーズ』のアルバム・ジャケットはカラフルでゴージャスでサイケデリックな、とても派手な出来栄えでした。

しかし今作では一転して、全体が白色のみのジャケットにアルバム名(バンド名)の文字が載っているだけという超シンプルなものとなっています。

ジャケットのアートワークを担当したのは、イギリスの超大物アーティストで「ポップアートの父」と称されたリチャード・ハミルトン

アルバムに同封されたコラージュ・ポスターには、ハミルトンのデザインに基づいてビートルズのメンバーたちの写真が数多く並べられていました。(裏面には収録曲の歌詞が掲載されていました)

当初は画家のジョン・バーンが描いたイラストがジャケットに採用される予定でしたが、最終的にはボツとなっています。

このイラストは、1980年に発売されたベスト盤「ビートルズ バラード・ベスト20」でアルバム・ジャケットとして使用されました。

ジャケットには通し番号が刻印されていた

アナログレコード盤のアルバム・ジャケットには通し番号が刻印されていました。

私自身は1981年にホワイト・アルバムのアナログレコード盤を購入。もちろん通し番号が振られていました。何番だったのか、何ケタだったのかは忘れましたけどね。

番号が1ケタ、あるいは2ケタのものはメンバー本人や家族、そして関係者に配られたといわれ、市場には流通しませんでした。後にオークションなどで世間に披露されたことはあります。

イギリスでの通し番号「No.0000001」はジョンが所有し、その後リンゴの手に渡ったそうです。また「No.0000003」はポールが所有しています。

2024年には「No.0000006」がオークションにかけられ、日本円にして約2,440万円で落札されたことも話題となりました。

かつてジョン・レノン(John Lennon)が所有していた、通し番号「No.0000006」の刻印が入ったビートルズ(The Beatles)のアルバム『The Beatles(通称:ホワイト・アルバム)』のレコード(ステレオ盤)がオークションに出品され、16万2,500ドル(約2440万円)で落札されています。

ヘリテージ・オークションズによると、この「No.0000006」のレコードは、ジョン本人が当時の彼の専属運転手兼ボディーガードだったレス・アンソニーにプレゼントしたもので、レスはその後に、このレコードを親戚に譲っています。

引用:ジョン・レノンが所有したビートルズ『ホワイト・アルバム』の通し番号「No.0000006」のレコード 2440万円で落札 - amass(2024年2月29日)

チャートの動き・順位変動

アーティスト名/
アルバム名(英語)
1968年
12月
1969年
1月
2月3月
The Beatles /
The Beatles
(White Album)
1111111212659
The Seekers /
The Best Of The Seekers
2222222121325541
Diana Ross
& The Supremes /
Diana Ross
& the Supremes
Join the Temptations
41112223
Original Soundtrack /
Sound Of Music
53444354562329656
Simon & Garfunkel
The Graduate
745554355

イギリスで8週1位、アメリカで9週1位

『ザ・ビートルズ』がイギリスのアルバムチャートに初登場したのは、1968年12月第1週。初登場1位で華々しくチャートインしました。

その後、合計8週で1位を獲得。アメリカのアルバムチャートでは合計9週で1位を獲得しています。

シーカーズとスプリームスが上位を競う

同時期にイギリスのアルバムチャートでビートルズと上位を争っていた作品では、まず「ザ・シーカーズ」が挙げられます。

シーカーズは1962年にオーストラリアで結成され、その後にイギリスで活動したグループです。

しかし、シーカーズは1968年に解散。この時期は解散特需とでも言うべきか、ベスト盤「 ザ・ベスト・オブ・ザ・シーカーズ 」がヒットしていました。『ホワイト・アルバム』から2度にわたりチャート1位を奪取しています。

シーカーズはその後、再結成しています。

続いて、ダイアナ・ロスが当時所属していた女性コーラスグループ「スプリームス(シュープリームス)」と、男性コーラスグループとして人気のあった「テンプテーションズ」がコラボレーションしたアルバムが3週連続で1位を獲得しました。

ダイアナ・ロス&シュープリームス、テンプテーションズ

サイモン&ガーファンクルの映画サントラ盤がヒット

1964年からイギリスのアルバムチャート上位に君臨し続け、ビートルズのアルバムから何度も1位を奪い続けた『サウンド・オブ・ミュージック』のサントラ盤は、さすがに1968年になると連続1位はないものの、まだ上位にいるのはサスガです。

他にはサイモン&ガーファンクルが多くの曲を歌っている 映画『卒業』のサウンドトラック盤 が同年6月に1位を獲得。『ホワイト・アルバム』がヒットしていた時期は1位から落ちたものの、まだまだチャート上位で奮闘中でした。

サイモン & ガーファンクル
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