アルバムの基本情報
タイトル (日本語) | ビートルズ・フォー・セール |
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タイトル (英語) | Beatles For Sale |
発売日 | 【イギリス】1964年12月4日 |
最高順位 | 【イギリス】1位(11週) |
CD
デジタル音源(CD)が初めて発売されたのは1987年。2009年には音質を改善したリマスター盤がリリースされています。
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アルバム収録曲
アナログ盤・A面
- ノー・リプライ No Reply
- アイム・ア・ルーザー I'm A Loser
- ベイビーズ・イン・ブラック Baby's In Black
- ロック・アンド・ロール・ミュージック Rock And Roll Music
- アイル・フォロー・ザ・サン I'll Follow The Sun
- ミスター・ムーンライト Mr. Moonlight
- カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ Kansas City / Hey-Hey-Hey-Hey!
アナログ盤・B面
- エイト・デイズ・ア・ウィーク Eight Days A Week
- ワーズ・オブ・ラヴ Words Of Love
- ハニー・ドント Honey Don't
- エヴリー・リトル・シング Every Little Thing
- パーティーはそのままに I Don't Want To Spoil The Party
- ホワット・ユー・アー・ドゥーイング What You're Doing
- みんないい娘 Everybody's Trying To Be My Baby
アルバムの概要
1964年のクリスマス商戦狙い
アルバム『ビートルズ・フォー・セール』は、イギリスにおける通算4枚目の公式アルバムとして、1964年12月4日に発売されました。
1年に2枚のアルバムをリリースするという契約があり、今作は前年と同様にクリスマスシーズンを狙うため制作されました。
超多忙を極めていたビートルズ
しかし、今作のレコーディング開始は1964年8月11日。1枚目である前作『ハード・デイズ・ナイト』のレコーディング完了からわずか2ヶ月しか経っていませんでした。
この期間中、ビートルズは初主演映画のプロモーション活動に加え、6月と7月にデンマーク、オランダ、香港、オーストラリア、ニュージーランドと広範囲のツアーで世界各国を巡りました。
続く8月にはテレビ出演を連続してこなした後にスウェーデンでのコンサートをおこない、イギリスに帰国して短い期間だけレコーディング。
さらにはレコーディング開始のわずか1週間後、8月19日から約1ヶ月もの期間はアメリカでの大規模なツアーもおこなうという超多忙なスケジュールをビートルズは消化していました。
収録曲の内訳、レコーディング期間
超多忙な日々を過ごしていたため楽曲を作る時間も少なく、スタジオで曲を煮詰める時間も十分に取れず、前作では全13曲がオリジナル曲だったのに対し、今作ではオリジナル曲が8曲、カバー曲が6曲という構成になっています。
収録曲のうち「パーティーはそのままに」は当初、リンゴがヴォーカルを担当するはずでした。しかしリンゴにはキーが高すぎたため断念。この曲はジョンとポールがヴォーカルを担当することになりました。
リンゴのヴォーカル曲として急きょ「ハニー・ドント」がレコーディングされ、この影響を受けてレコーディング済みだった「リーヴ・マイ・キトゥン・アローン」がボツとなり、合計14曲収録となっています。
「リーヴ・マイ・キトゥン・アローン」は1995年リリースのアルバム『アンソロジー1』に収録されました。
8月11日から開始されたレコーディングは10月26日まで続き(約2ヶ月半)、スタッフによる編集作業は11月4日に完了しています。
アルバムジャケットについて
撮影場所はロンドンのハイド・パーク
アルバムジャケットの写真を撮影したのは、前作と同じく写真家のロバート・フリーマンが担当しました。
撮影場所はイギリス・ロンドンにあるハイド・パークの一角。
ビートルズの4人はスーツ姿で黒いマフラーを巻き、笑うでもなくカメラに視線を送っている写真です。この頃は前述したとおりの超多忙なスケジュールで、その合間でのジャケット撮影であり、メンバーたちの表情は疲れ切っています。
旧友アストリッドの手編みマフラー
4人が巻いている黒いマフラーはドイツ時代の旧友、アストリッド・キルヒャーが編んでプレゼントしたのだそうです。
最初はアストリッド自身が身に付けていたマフラーをジョンが気に入ってアストリッドに「編んで欲しい」とねだり、続いてジョージもねだったため、最終的に4人全員に編んであげたのだとか。
チャートの動き・順位変動
アーティスト名/ アルバム名(英語) | 1964年 12月 | 1965年 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |||||||||||||||||||||||
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The Beatles / Beatles For Sale | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 4 | 2 | 4 | 2 | 3 | 5 | |
The Beatles / A Hard Day's Night | 1 | 1 | 4 | 5 | 5 | 6 | 4 | 4 | 6 | 7 | 5 | 9 | ||||||||||||||||||
The Rolling Stones / The Rolling Stones | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 | 5 | 6 | 7 | |||||||||||||||||||||
The Rolling Stones / The Rolling Stones No.2 | 9 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 2 | 3 | 3 | 3 | 6 | 7 | 9 | |||||||||
Bob Dylan / The Freewheelin' Bob Dylan | 9 | 9 | 9 | 3 | 1 | 5 | 3 | 2 | 2 | 1 | 3 | 5 | 5 | 5 | ||||||||||||||||
Bob Dylan / Bringing It All Back Home | 1 | 2 | 6 | 2 | 2 | |||||||||||||||||||||||||
Original Soundtrack / Sound Of Music | 9 | 7 | 4 | 6 | 2 | 5 | 1 | 1 | 1 | 1 |
『ハード・デイズ・ナイト』からバトンを受け継ぐ
『ビートルズ・フォー・セール』がイギリスのアルバムチャートに初登場したのは1964年12月の第2週で、初週は4位でした。
それまでは前作『ハード・デイズ・ナイト』が21週連続1位を獲得していましたが、バトンを引き継いで『フォー・セール』が1位となり、7週連続で1位を獲得します。
ストーンズとのライバル関係
その『フォー・セール』から1位を奪ったのは、ローリング・ストーンズの通算2枚目となるオリジナル・アルバム『 ザ・ローリング・ストーンズ No.2 』でした。
イギリスが生んだ2大バンド、ビートルズとストーンズのアルバムはその後も1位を獲ったり獲られたりのデッドヒートを展開。
結果としてストーンズのアルバムは合計10週で1位を獲得しました。
ボブ・ディランのイギリスでの人気が沸騰
『フォー・セール』は5月第1週にストーンズから1位を奪い返し、3週連続で1位。
しかし今度はストーンズに代わって、アメリカ人シンガーのボブ・ディランがチャートを席巻し始めます。
この頃にイギリスでのツアーをおこない、イギリス国内でディランのブームが到来していたため、2枚のアルバムがビートルズのチャート1位を阻止しました。
1963年5月リリースでディラン2作目のアルバム『 フリーホイーリン・ボブ・ディラン 』が1位を2週獲得。
さらに1965年3月リリースで通算5作目の新作アルバム『 ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム 』も1位を獲得しました。
モンスターアルバム『サウンド・オブ・ミュージック』の登場
さらに、映画『サウンド・オブ・ミュージック』のサウンドトラック盤が6月第1週からチャート1位に。
ディランとサウンドトラックの猛威により、『フォー・セール』は徐々に順位を落とし、最終的には合計11週の1位獲得となりました。
『サウンド・オブ・ミュージック』のサウンドトラック盤は約2年にわたりチャート上位を席巻する特大ヒットアルバムとなり、ビートルズがその後にリリースしていくアルバムに対する強力な壁となっていきます。